
横浜市立大学整形外科専門研修プログラムにおいては指導医が専攻医の教育・指導にあたりますが、専攻医自身も自己研鑽し自己の技量を高めると共に、積極的に臨床・研究等に関わり整形外科医療の向上に貢献することが期待されます。整形外科の研修で経験すべき疾患・病態は、運動器官を形成するすべての組織の疾病、外傷、変性疾患です。また全ての年齢層が対象となり、その内容は多様です。
要点は以下の通りです。
・初期研修2年終了後、整形外科専門研修3年9ヶ月のプログラム。
・1ヶ月の研修を1単位とする単位制。
・全カリキュラムを10の研修領域に分割。
・3年9ヶ月間で45単位を取得する必要がある。
・指導医数80名以上、年間新患数60,000名以上、年間手術件数およそ21000件以上。
・経験すべき症例が明示されている。
A: 最低5例以上経験
B: 最低1例以上経験
C: 比較的稀な症例。
・大学病院での研修期間は6ヶ月以上が望ましい。
・地域研修病院での研修は最低3ヶ月。
・教育研修会30単位、1回以上学会発表、筆頭著者1編以上。
・指導医は指導医講習会を受講。
・1名の指導医が指導可能な専攻医は3名以内。
・1名の指導医が指導可能な指導領域は3領域以内。
習得すべき領域と単位(1カ月1単位)
A: 脊椎・脊髄 6単位
B: 上肢・手 6単位
C: 下肢 6単位
D: 外傷 6単位
E: リウマチ 3単位
F: リハビリテーション 3単位
G: スポーツ 3単位
H: 地域医療 3単位
I: 小児 2単位
J: 腫瘍 2単位
K: 流動単位 5単位
計 45単位
1. 十分な指導医数、症例数
整形外科後期研修プログラムにおいて必要とされる症例数は、年間新患数が500例、年間手術症例が40例と定められておりますが、基幹施設および連携施設全体において年間新患数60,000名以上、年間手術件数21,000件以上の豊富な症例数を有する本研修プログラムでは必要症例数をはるかに上回る症例を経験することが可能です。
2. 学術活動
横浜市立大学整形外科同門談話会への参加および同会での発表、外部の学会での発表と論文執筆(研修期間中1編以上)を行うことによって、各専門領域における臨床研究に深く関わりを持つことができます。本研修プログラム修了後に、大学院への進学やサブスペシャリティ領域の研修を開始する準備が整えられます。
3. 横浜市立大学附属病院での研修
原則として1年目から4年目の間に基幹施設である横浜市立大学附属病院で半年~1年間研修を行います。医療技術が目まぐるしく進歩し、高度に専門化されていく今日において、横浜市立大学医学部附属病院整形外科は大学病院として診療・教育・研究という3つの大きな役割を担っています。横浜市立大学医学部附属病院整形外科は、脊椎、膝関節、股関節・小児、腫瘍、スポーツ・上肢、リウマチの診療班からなります。大学における研修では、それぞれの診療班に所属して研修することでサブスペシャリティに対する専門性の高い研修を受けると同時に、研究カンファランス、論文抄読会を通じて基礎研究・臨床研究に対する関わりを深く持つことができます。
4. 専門性の高い、こども医療センター・神奈川県立がんセンターでの研修
横浜市立大学附属病院での研修期間内にこども医療センターまたは神奈川県立がんセンターで1~2か月間研修を行い、骨軟部腫瘍または小児整形に特化した専門性の高い研修を行います。
5. 充実した専門研修連携施設
本専門研修プログラムでは、大型総合研修病院として年間700例以上の手術件数を取り扱う横浜市立大学附属市民総合医療センター、横浜市立市民病院、横浜医療センター、横浜南共済病院、平塚共済病院、相模原協同病院、小田原市立病院、藤沢市民病院、横須賀共済病院、関東労災病院、横須賀市立市民病院、横須賀市立うわまち病院、茅ヶ崎市立病院、新百合ヶ丘総合病院、聖路加国際病院、藤沢湘南台病院があり、さらに各分野の最先端治療を行う高度専門領域研修病院として、こども医療センター、神奈川県立がんセンター、神奈川リハビリテーション病院、横浜市立脳卒中・神経脊椎センターがあります。また、地域医療研修病院として大和市立病院、横浜保土ヶ谷中央病院、足柄上病院、横浜掖済会病院、国際医療福祉熱海病院、練馬光が丘病院と多くの連携施設が入っています。
6. 研修コースの具体例
本専門研修コースの具体例として別表のごとく、横浜市立大学病院整形外科の専門研修施設群の各施設の特徴に基づいたコースの例を示しています。原則として1年目から4年目の間に基幹施設である横浜市立大学附属病院で半年-1年間研修を行います。その期間内にこども医療センターまたは神奈川県立がんセンターで1~2ヶ月間程度研修を行い、骨軟部腫瘍または小児整形に特化した専門性の高い研修を行います。流動単位の5単位については、必須単位取得後にさらなる経験が必要と考えられる分野や、将来希望するサブスペシャリティ分野を重点的に研修することが可能です。