平塚共済病院

1.【病院の特色】

平塚共済病院は、大正8年に開設され今年で100周年を迎えました。

病床数は397床。病院まではJR平塚駅からバスで10分、小田急線伊勢原駅からバスで25分です。現在は、湘南西部医療圏に位置する地域医療支援病院として、平塚,茅ヶ崎、二宮、大磯、伊勢原、秦野の近隣医療機関はもとより東は横浜、逗子、葉山、鎌倉、藤沢、大和から西は足柄、小田原、湯河原、熱海、伊東、北は愛甲郡までの広範囲の医療機関と連携して診療を行っています。



2.【診療科概要】

◆診療内容

 当院は急性期病院でありますので治療の主体は手術的治療になります。整形外科全般を行っておりますが、手外科を中心とした上肢外科が主体とし、脊椎外科、人工関節手術も積極的に行っております。2017年4月よりリウマチセンターを開設し横浜市大の第一内科の応援も受けて診療を開始しております。急性期病院で救急センターを併設しているため外傷患者も多く、四肢の骨折の手術は月曜から金曜の全日で頻繁に行っています。

 当科では、日々の診療において全員で意見を出し合えて切磋琢磨できる環境を作り、また、診療情報を共有することで、安全な医療をおこなうことに全員で気を配っています。


◆手外科センター

 2009年に当院は手外科センターに併設して以来手外科領域を中心に臨床活動を行ってきました。また、平成19年度より手外科専門医制度が発足し、当院も日本手外科学会より手外科専門医の研修基幹病院として認定されました。

 手外科は上肢の外科とも表現され一般に肩から下の部分、上腕、肘、手関節、指などの上肢全体を専門とする分野です。手は骨、関節、神経、腱、血管、靭帯、筋肉などから構成され複雑で繊細な構造を馳駆して繊細かつ大胆な動きを行っています。そのため、手の障害により日常生活が非常に不便になると、手が生活にいかに重要であるかに気付かされます。このため、手外科診療では、このような手の特殊性に精通し、かつ、専門的な知識と技術を有している医師から治療を受けることが大切です。

 診療では,特に手指骨骨折や靱帯損傷、橈骨遠位端骨折を中心とした前腕骨骨折、母指CM関節症、デュプイトラン拘縮、肘関節靱帯損傷、上腕骨骨折などに重点を置き診療を行っています.橈骨遠位端骨折診療ガイドライン策定委員も歴任した坂野副院長の開発した掌側ロッキングプレート<Stellar plate>(図1)は全国的に頻用される(国内使用量は第3位)固定材料になりました。様々な骨折に適応出来る様にstellar1,stellar2,stellarDとラインナップを増やしています。合併症の少ない安全で使用しやすい固定材料の研究開発を進めております。


図1 2017年デビューの橈骨遠位端骨折治療用の遠位固定型掌側ロッキングプレート:StellarDプレート


さらに,2014年からは高齢の女性に多い母指CM関節症に対して国内では初の関節鏡を用いた大菱形骨部分切除に人工靱帯による低侵襲なsuspensionplasty(図2)を行うsuture button suspensionplastyを行っており早期のADL復帰と良好な成績が得られています。 


図2母指CM関節症に対するsuture buttonを使用した鏡視下suspensionplasty 


 先進医療として超音波治療を導入し新鮮骨折例に術直後より使用し、今まで不可能と考えられていた4週間での創外固定器の抜去に取り組んでいます。また,手指骨折に対するLOW PROFILE PLATE and SCREW systemによる、関節面の陥没した肘頭骨折に対するプレート固定法による観血的整復固定術、腱鞘炎であるばね指に対する鏡視下腱鞘切開術やドケルバン病の選択的腱鞘内注入療法を行い、より低侵襲の加療を積極的に行って良好な結果が得られております。また,2016年より偽関節治療や骨壊死性疾患に対し血管丙付き骨移植を積極的に行い良好な術後成績が得られております。整形外科診療において、術後成績に重要な手のリハビリについては、医師と作業療法士でカンファレンスを行い、手術法、治療内容の細かな指示について検討、確認を行って進めています。


◆脊椎外科

 「痛みを和らげ、患者さんに夢と希望を」をモットーにひとりひとりの患者さんにふさわしい治療法を選んで、患者さんが納得された治療を脊椎外科専門医が中心となり提供します。

 手術治療は体に負担の少ない方法を心がけており、基本的に顕微鏡を使用し、安全、確実性の高い手術方法を行っております。手術に要する入院期間は5~14日間です。疾患によっては手術の前に1泊2日の検査入院を行うこともあります。

☆脊椎外科で取り扱う症状

 腰痛、脚のしびれや痛み、歩行障害(間欠跛行)、腕、手のしびれ、頸椎の痛み、手の使いづらさ。

☆脊椎外科で取り扱う疾患

 頸椎症、頸椎椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、腰椎分離症、脊椎変形、脊椎圧迫骨折、骨粗しょう症性椎体骨折、脊椎外傷、脊椎損傷、腫瘍、関節リウマチに合併した脊椎疾患などです。 


◆リウマチセンター

 リウマチセンターでは関節リウマチをはじめリウマチ性類縁疾患及び変形性関節症の患者を対象に診察・治療にあたっています。スタッフにはリウマチ学会指導医及び専門医がおり、最新の治療を提供しております。外来診療日は月曜日から金曜日までの週5日です。

 当科では従来の抗リウマチ薬に加え、治療効果を高めるため、生物学的製剤や分子標的抗リウマチ薬(JAK阻害薬)による最新の薬物治療も積極的に行っています。また、治療内容の見直しや合併症の評価(肝炎や膠原病、呼吸器・血液疾患など)にも対応させていただきますので、お気軽にご相談ください。

 薬物治療に加えて、膝関節をはじめ肘、手指や足趾変形によりADL、QOLが低下している患者さんに対して、変形を矯正する手術や人工関節手術を提案させていただいています。手術治療の併用により、患者様の高いADL、QOLの獲得に努めています。人工関節手術においては正確性が求められるため最新のナビゲーションシステムを用いて手術を行っています。関節リウマチにとどまらず、変形性股関節症、変形性膝関節症の患者様に対する手術治療(人工関節置換術、高位脛骨骨切り術、外反母趾矯正手術など)も積極的に行っております。



3.【主な手術内容及び件数】

新患数2751人

手術数:2019年度1493件 

(手外科領域810 脊椎126 リウマチ・OA・人工関節68)


平成30年度 1211件、平成29年度 1192件、平成28年度 1149件、平成27年度 1080件、平成26年の手術数は1053件、平成25年の手術件数は950件、平成24年の手術件数は940件です。



4.【診療体制】

整形外科スタッフ9名で診療にあったております。

手外科専門医2名

リウマチ専門医1名

脊椎脊髄病学会指導医、日本整形外科学会脊椎脊髄病医1名


平成27年より完全予約制に移行いたしました。紹介状のない患者さんの診察ができない状況ですので紹介状を持参していただければ幸いです。紹介患者さんは病診連携室にても予約可能ですので活用ください。

整形外科外来の受付時間は8時30分から10時30分です。

ただし、緊急手術が必要なような急患対応の場合はこの限りではなく、可能な限り対応いたしますので直接電話連絡を当院までよろしくお願いいたします。

2015年度より完全紹介制に移行した外来は待ち時間の短縮に貢献しましたが,2016年より年々外来数が増加しており,システムを理解頂き多くの患者さんを紹介頂き感謝しております。また,診察の結果において保存的治療で治療可能な場合や術後の落ち着いた患者さんは医療連携を行い、各地域の診療所の先生をご紹介(逆紹介も含む)して治療を進めてまいります。


外来担当表


※午前の診察は、10時30分までです。

2015年4月1日より完全紹介制になりました。

午後は完全予約外来です。

手外科センター医師



※午前の診察は、10時30分までです。

木・金は内科医師