留学案内

海外留学は研究での成果を上げることはもちろん重要ですが、人生経験の上でもとても貴重であり、まさにpriceless・・・

これからの長い医師としての生活を考えれば、このような時間があってもよいのではないでしょうか?

また、海外だけではなく、国内留学も臨床能力の向上や研究で成果をあげる上では貴重な機会です。より現実的な選択肢として国内留学の機会も積極的にサポートしています。

 

アメリカ クリーブランドクリニック

アメリカオハイオ州にあるクリーブランドクリニックは、全米屈指のハイレベルな病院であり、多くの研究機関を有します。整形外科だけでなく、各科において世界中から優秀な医師、研究者が集まっています。病院は広大な敷地を有し、一大キャンパスを形成しています。

周囲には豊かな自然が溢れており、秋の紅葉、クリスマスシーズンは雪景色、春、夏は爽やかな緑に包まれます。

                           

現在、横浜市大整形外科から2名の医師が研究員として留学しています。
実際の臨床に関わる研究から基礎研究まで内容は様々であり、日本では経験しがたい貴重な時間を過ごしています。


留学生の声

小林洋介先生より

 

平成254月より、北海道中央労災病院せき損センターに国内留学させていただいております、平成18年卒の小林洋介と申します。

 

赴任して5ヶ月近く過ぎ、手書きカルテや電車が1時間に1本しか走らないような生活にもようやく慣れてきましたので、当院や北海道での生活を御紹介させていただきます。

病院は、北海道の美唄市にあります。美唄市といっても、なかなかみなさまの馴染みのない場所かと思いますが、北海道の中央部、札幌の約60km北東部に位置した、人口が約24000人の都市です。かつては炭鉱で栄えていて、炭鉱事故での脊損患者のための手術やリハビリに力をいれていた病院です。

 

3月の終わりに自家用車にスタッドレスタイヤを装着させ、横浜から大洗へ向かいフェリーにて苫小牧に到着、そのまま札幌を経由し美唄市へ計24時間くらいの長旅で引っ越し代金は約70万円かかりました。(病院がすべて負担してくださいました。)

赴任した4月は辺り一面が真っ白で全貌がわからず、雪で閉鎖されている道も多い状況で6月上旬まで雪は残っておりました。

 

当院で働く前は、その名の通り脊損患者を中心とした手術がメインなのだろうと思っていましたが、実際はそれ以上に変性疾患の患者が多く、脊椎手術は週810件程度の定期手術に緊急の脊損患者が加わります。手術は、変性疾患、脊損ともにインストゥルメントを用いた固定術が大半を占めます。

脊損患者は、北海道のほぼ全域からヘリコプターで運んで来られます。到着後に急いで神経所見をとり、各種画像、生理機能検査、その間に術前プランニング、家族へのICを行い、慌ただしい中、頸損の場合はだいたい1時間30分後の手術室入室を目指します。多い時には、一日3台のヘリが飛んできた日もありました。

迅速かつ正確に手術を行うことで、その後の麻痺の改善度合いや、合併症、ADLにも良い影響が多くたいへんですが、緊急手術を行う重要性を改めて認識させられました。

北大といえば頸椎椎弓根スクリューで有名です。当院においても挿入しなければいけないケースが非常に多く、これまで経験の少なかった私にとってたいへん勉強になっています。

 

整形外科スタッフは、三浪病院長、須田部長をはじめ、その他、北大医局から4名、産業医大1名、愛媛大1名、慶応大1名、札幌医大1名で、北大の先生だけでなく全国様々な医局からの先生が多く、いろいろな刺激や繋がりが得られます。仕事終わりにはみんなで飲みにいくことが多く、スナックで美声(美唄?) を響かせ、翌早朝には仕事前にゴルフでハーフラウンドし、体力的にもだいぶ鍛えられます。北大のカンファレンスや、札幌での脊椎研究会にも参加させていただく機会もあり、頭も頑張って鍛えています。

 

自宅は、横浜南共済病院での入局1年目以来の寮生活です。構造は、ほぼ南共済病院寮と同じでやや古い構造ですが、石油ストーブが備え付けられており灯油は寮に常に貯蓄されていますので凍死する心配はありません。冷房はないですが、夏場でもそこまでの必要性を感じておりません。夜間や早朝には、敷地内でキタキツネと遭遇できることもあります。美唄の山間部ではヒグマも生息していますが、幸いまだ目撃しておりません。

 

週末には新規せき損患者が発生しないことを祈りつつ、札幌や旭川、富良野などの美唄郊外へたまに出かけます。安いゴルフ場も近くにたくさんあることから、やったこともなかったゴルフもかじり始めましたし、冬はスノーボードも楽しみです。夏休みには可能な限り、道内を周遊できたらと考えております。

 

最後になりましたが、北海道中央労災病院せき損センターへの国内留学というたいへん貴重な機会を与えていただき、齋藤教授をはじめ、医局長、脊椎クリニック、医局の先生方に感謝申しあげます。できる限り多くのことを吸収して参りたいと思っていますので、今後ともどうぞ宜しくお願い申しあげます。

 

病院の風景

 

 自宅の窓の下にはヘリポートがあります。

 

アルテピアッツァ美唄

 

富良野ラベンダー畑

 

美瑛の青い池


 

 

林先生より

はじめに

 私は、200910月よりアメリ合衆国オハイオ州にあるクリーブランドクリニックに留学しております。以前より更に研究に打ち込んでみたいと考えていたことと、海外にて生活し、日本とは異なる文化を学んでみたいと考えていたことが留学を希望した理由でした。また、諸先輩方に色々と助言をいただき、また励まされ留学することを決意しました。

 

オハイオ州クリーブランドの概要

 クリーブランドはオハイオ州第2の都市でアメリカの北部、五大湖の1つエリー湖のほとりに位置しています。かつて鉄鋼業として発展し、全米上位10位以内に入る大都市でしたが、鉄鋼業の衰退とともに人口も減少、現在は商業中心の産業に様変わりしています。そしてかのロックフェラーの出身地であることでも有名です。現在は商業都市に生まれ変わっています。また、プロスポーツも盛んであり、メジャーリーグベースボールはインディアンズ、バスケットボールはキャバリアーズ、アメリカンフットボールはブラウンズがクリーブランドを本拠地としています。気候に関しては、夏は湿気がなくすごしやすい日が続きますが、冬は積雪量が多く、交通渋滞を引き起こすことがこの2シーズンにおいても幾度かありました。

NBAの試合会場であるクィックン・ローンズ・アリーナ

 

クリーブランドクリニック

 クリーブランドクリニックは1921年に設立され、今年でちょうど90周年になります。当クリニックは全米ベストホスピタルランキングにて4本の指に入る病院として多くの患者さんが来院します。また、世界初の輸血、心臓バイパス手術、そして腎臓の透析等はクリーブランドクリニックにて施行されました。そして、クリニックに併設して研究施設として多くの研究者を世界各国から受け入れ、日々新たなる治療戦略の開発に取り組んでいます。

 

研究について

こちらクリーブランドクリニックには代々我が横浜市立大学整形外科は留学生を派遣しており、基礎および臨床に関連する研究において優れた業績を上げてきました。

私は現在、Anatomic Pathology & Clinical Microbiologyに籍を置き、人工関節周囲感染に関する研究に取り組んでおります。特に、遺伝子増幅(PCR)を応用した生死菌の鑑別をテーマとし、臨床に還元できるような研究内容で、さらに研究材料を受け取りに手術室に入室するため、時間的には短くそして術場に立つことはできませんが、アメリカでの整形外科手術の雰囲気を直接感じることができ、臨床に従事してきた身として非常に有意義な研究生活を送っております。

 研究を行っている場所はClinical Microbiologyを間借りし、そこでTechnicianが処置をした検体を受け取り、生死菌の鑑別のための処理、DNAの抽出、そしてPCRを行っています。

先日行われたGraduation Partyにて、お世話になっている整形外科Dr. Krebsと共に。

 

クリーブランドでの生活

 クリーブランドは北緯41度と北海道函館市とほぼ同緯度に位置しており、気候は冬寒く、夏は湿気が少なくカラッとしていて過ごし易いところがこれまでに訪れたところでは帯広に気候が似ており、どこか親近感を感じています。しかしながら、冬には-20℃になる寒さと時折の大雪のため、関東地方に長年住みなれた身としては生活に困難を伴うことが度々ありました。この長い冬を通り過ぎると若葉が芽吹く春がやってきます。この春を待ちわびてきた私ですが、今年の春は寒空と雨天が多く、本当の春を待ちわびていましたが、5月末から急に暑い日がやってきて、6月に入り春を通り越しすでに夏真っ盛りとなりました。

 冬季はその寒さと雪で閉ざされジョギングする回数が限られたため、運動不足に陥ると思われましたが、クリーブランドクリニックは健康増進を推奨しており、非常に充実したジムが併設されています。そこで仕事前や仕事後にエクササイズをすることが可能です。またヨガのクラスがクリニック内にて無料で開催されており、疲れてこわばった身体をリラックスすることもできます。私の場合は健康維持を目指し以前からしていたサッカーを継続したいと考えていたところ、ちょうど臨床技師に誘われ、冬季から春季はインドアでのサッカーチームに入団、こちらのサッカーを体験することができました。アメリカは実はサッカーが学生、特に女性を中心にポピュラーなスポーツであり、週末には近郊のグランドでサッカーを楽しんでいる姿を良く見かけます。土のグランドを見ることはまずなく、芝生上でサッカーを楽しむことができます。私のチーム名はなんと「バイエルン」。相手には南米、中米、そしてヨーロッパスタイルのチームが存在しており、テクニックに優れている選手に数多く会うことができました。とはいってもやはりフィジカルが強く、どちらかというと、いかに当たり負けしないかが重要でした。いわゆる「ガチンコ」タイプが多く、生傷が耐えません。6月からはいよいよ屋外でのシーズンが始まりました。クリニックのジムそしてサッカーを通じて、自分の職場以外の様々な方々と交流する機会が得られました。今更ながら、スポーツが持つ力の偉大さを、我が身をもって知ることができました。

 こちらでの生活における移動は居住する場所にも依りますが自動車がないと不自由するため、家族を持つ日本人家庭は通常自動車を所有し、通勤、子供の送迎、そして買い物と、大車輪の活躍です。

 週末は近隣の動物園や公園に行き、自然、そして種々の動物観察を楽しむことができます。日本の動物園や公園のように混み合うことは稀であり、また交通渋滞も少ないことから帰りの煩わしさもなくゆったりと過ごすことができます。日本に比べ動物の密度がはるかに高く、近隣では、リス、シカ、そしてたまにはスカンク(あまり会いたくありませんが)に遭遇することもあります。また、グース(日本で言うシジュウカラガン。こちらではカナダガン)が当たり前のようにアパートの庭、公園に暮らしており、我が物顔で闊歩しています。

公園やアパートメントにはバーベキュー専用の台が設置されており、自由に使用することができます。5月まではまだ肌寒い日が多く、芝生がぬかるんでいますが、6月から気候が安定することが多くなるためそこからがバーベキューのシーズンで、公園ではもちろんのこと、アパートメント周囲、または友人宅のバックヤードにお邪魔してアメリカンの雰囲気を味わいながら、交流を楽しみます。個人的な感想ですが、肉類は非常においしく、また比較的安価で手に入るためその点は非常に良い点だと思います。

これからが夏本番、7月から屋外でのクリーブランド管弦楽団の演奏会が催され、週末のイベントが事欠かなくなってきます。私にとって、残り少ない留学生活となりましたが、研究に励むとともに、様々な国々からここクリーブランドに生活している人々から文化を吸収し、また交流を楽しみたいと思っています。

 

最後に、留学という貴重な機会を与えてくれた教授をはじめとする医局の皆様、そして関連病院の皆様にこの場をお借りして心より謝意を申し上げます。

 

松尾先生より(2010年3月に帰国されました)
2007年度より、カリフォルニア大学デイビスにてPostdoctoral scholarとして働いています。デイビスはサンフランシスコより100kmほど内陸に位置する大学を中心とした小さな都市です。住民の大半が大学関係者であるためか、治安はとてもよく、人々もみな親切で非常に住みやすい都市です。周囲には様々な種類の農園、果樹園が存在し、1年を通して多彩で且つ新鮮な有機野菜、果物が手に入ります。また、サンフランシスコなどの大都市へのアクセスもよく、観光、ショッピングを楽しめるほか、ワインの産地ナパ・バレー、大自然を満喫できるヨセミテ国立公園、カジノやスキーを楽しめるレイク・タホなどいくつかのレジャースポットが近くにあります。
われわれの研究室では、内分泌物質や炎症性サイトカインなどの細胞内シグナルを制御するProtein Tyrosine Phosphatasesに注目しています。この蛋白は様々な代謝性疾患、炎症性免疫疾患、腫瘍性疾患などへの関与が指摘されており、その機能を明らかにし、新たな治療のターゲットとする道を模索しています。指導教授は熱意あふれる優秀な研究者で、懇切丁寧に指導してくれます。当研究室では他施設との共同研究も行われており、私自身もハーバード大学やドイツの研究所に出向き、数ヶ月間研究を行うことを予定しています。このように、他施設の優れた技術を利用できる点も、当研究室の特徴です。
アメリカに来て早5ヶ月が経ちました。この5ヶ月の間に色々な苦労もしましたが、時間の過ぎる早さも痛感しています。帰国後、アメリカでの生活から多くのものを得る事ができたと思えるよう、研究に限らず、他国の文化、人々からできる限りの事を吸収できたらと思っています。


小林秀郎先生より(2009年3月に帰国されました)
2006年春より、米国オハイオ州クリーブランドのCleveland Clinicへ赴任し、早1年が経過しました。当地は大変自然豊かで、緑多くリスや野ウサギが走る春、蛍の舞う夏、紅葉の秋、また、寒さ厳しいですが、雪景色の美しい冬と季節もダイナミックに移ろいます。当クリニックの心臓部門は大変有名ですが、整形外科も米国のベストホスピタルランキングで常に上位に位置しています。私はAnatomic Pathology部門のresearch fellowとして、現在は主に術後深部感染起炎菌の早期同定とその臨床応用をテーマとした研究生活を送っております。研究には申し分のない環境の中、興味と熱意を持って取り組んでおります。また、研究の傍ら、スポーツ観戦・音楽・ドライブ・ナショナルパーク訪問など米国の豊かな文化、スケールの大きな大自然を楽しんでおります。この地で研究生活できる機会を与えられたことに深く感謝し、精進しなければと肝に銘じています。


山下先生より(2009年に帰国されました)
クリーブランドクリニックSpine instituteに留学中の山下です。ボスであるDr. Liebermanは、脊椎椎体骨折に対するkyphoplastyの第一人者で、彼の指導のもと、主に脊椎関連の臨床研究に携わっております。一般的な留学ですとラボに所属し、そこの方針で仕事が進んでいくのですが、私のボスはラボを持たないために、他のDr.やラボにアイディアを持ち掛け、共同して研究を進めていくことになります。ということで、研究内容が縛られない反面、自分でアイディアを考え、それを実現させることの難しさを感じております。ただスタートするまで難航していた転移性脊椎腫瘍に対するprospective studyが、最近ようやく軌道に乗ってきており、2-3年後の結果解析が楽しみになってきました。
ここクリーブランドには、同門の先生方が私を含め3人おり、心強いばかりです。これからも、お互い助け合い、さらに切磋琢磨して良い結果を出せるように頑張るつもりです。